【5G/4G/LTEの特許】知財担当者が知っておくべき3つの要素

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企業の知財担当者や特許事務所の弁理士にとって移動体通信(5G/4G/LTE)はハードルの高い分野であり、移動体通信の担当者になると最初は「右も左も分からない」「話についていけない」という状況に陥りがちです。

私自身も、10年以上にわたって移動体通信特許の権利化や係争の支援に携わってきましたが、やはり最初のうちはかなり苦労をしましたし、遠回りもしました…。

そこで、この記事では、知財担当者が移動体通信(5G/4G/LTE)の特許を担当するにあたって知っておくべき3つの要素を紹介します。

この記事を読めば、移動体通信(5G/4G/LTE)の特許についてまず何を学べばよいかが分かります。

目次

移動体通信(5G/4G/LTE)の特許に関する2つのハードル

5G/4G/LTEの特許の2つのハードル

そもそも移動体通信(5G/4G/LTE)の特許を担当するあたって何がハードルになるのでしょうか。

【ハードル①】標準化

第1のハードルは、移動体通信(5G/4G/LTE)の技術は標準化されるということです。

5G/4G/LTEの技術は、3GPP (3rd Generation Partnership Project)という標準化プロジェクトにおいてTS (Technical Specification)という形で標準化されています。

標準化される技術の特許については、あらゆるフェーズで、標準化を前提にしたアクションが求められます

例えば、権利化のフェーズでは、標準必須特許(Standard Essential Patent: SEP)の取得を目指して、将来標準化されそうな技術の特許出願を行い、標準化の状況に応じて適宜クレームを補正することになります。

例えば、自社特許のライセンス交渉のフェーズでは、自社特許がSEPであることを主張していくことになります。

例えば、他社特許のライセンス交渉のフェーズでは、他社特許がSEPではないと反論していくことになりますし、他社特許の無効を主張するために、標準化活動内で出された提案書(=寄書)の中から先行技術を探すことになります。

このように、5G/4G/LTEの技術が標準化され、それに伴い、5G/4G/LTEの特許についても標準化を前提としたアクションが求められますので、これが大きなハードルとなります。

【ハードル②】技術の難易度

第2のハードルは、移動体通信(5G/4G/LTE)の技術の難易度が高いということです。

慣れない技術分野を新たに担当することは、移動体通信ではなくても大変なのですが、特に移動体通信の技術は、他の技術分野と比べても理解することが難しいと言えます。

まず、5G/4G/LTEには多数の専門用語があり、その専門用語をベースとして発明が説明されますので、慣れていない人は、専門用語がネックとなって発明を十分に理解することができません

また、5G/4G/LTEの発明は、多数の技術を前提として成り立っているので、前提となる多くの技術の知識がなければ発明を十分に理解することができません

さらに、3GPPのTSや寄書は英語で記載されていますし、5G/4G/LTEの技術を正確に解説する書籍やサイトは大抵は英語で記載されていますので、英語を読むことを苦にする人にとっては技術を学習することも難しくなるでしょう。

このように、移動体通信(5G/4G/LTE)の技術の難易度は高く、これも大きなハードルとなります。

知財担当者が知っておくべき3つの要素

上述のとおり「標準化」と「技術的な難易度」がハードルとなりますが、移動体通信(5G/4G/LTE)の担当者としてそれらのハードルを乗り越えていくためには何を知るべきなのでしょうか。

それは、5G/4G/LTEの『標準化』『標準必須特許 (SEP)』『基本技術』の3つです。

【知財担当者が知っておくべき要素①】 5G/4G/LTEの『標準化

第1に、5G/4G/LTEの『標準化』そのものを知っておくことが重要です。

具体的には、5G/4G/LTEの『標準化』についての以下のような事項を基礎知識として知っておくことが重要です。

  • 3GPPとは
  • 3GPPのTS (Technical Specification)
  • 3GPPにおける標準化のプロセス
  • 3GPPの各WG (Working Group)
  • 3GPPの寄書

上述したように、標準化される技術の特許については、あらゆるフェーズで、標準化を前提にしたアクションが求められます

そのため、5G/4G/LTEの『標準化』そのものを知ることにより、少なくとも『標準化』そのものについて「右も左も分からない」「話についていけない」という状況を回避することができます

本サイト(【5G/4G/LTE】特許ノート)では、5G/4G/LTEの『標準化』を解説する記事を掲載していきます。

【知財担当者が知っておくべき要素②】 5G/4G/LTEの『標準必須特許 (SEP)』

第2に、5G/4G/LTEの『標準必須特許 (SEP)』を知っておくことが重要です。

具体的には、5G/4G/LTEの『標準必須特許 (SEP)』についての以下のような事項を基礎知識として知っておくことが重要です。

  • 標準必須特許 (Standard Essential Patent: SEP) とは
  • FRAND (Fair, Reasonable, And Non-Discriminatory)
  • SEPの必須宣言
  • 通常の特許とSEPとの違い
  • SEPのクレームチャート

5G/4G/LTEの特許の中心になるのは、標準必須特許 (SEP) です。

そのため、5G/4G/LTEの『標準必須特許 (SEP)』を知ることにより、5G/4G/LTEの担当者としてどのようなアクションをとればいいかを判断できるようになります

本サイト(【5G/4G/LTE】特許ノート)では、5G/4G/LTEの『標準必須特許 (SEP)』を解説する記事を掲載していきます。

【知財担当者が知っておくべき要素③】 5G/4G/LTEの『基本技術』

第3に、5G/4G/LTEの『基本技術』を知っておくことが重要です。

具体的には、5G/4G/LTEの『基本技術』である以下のような事項を基礎知識として知っておくことが重要です。

  • システムの全体像
  • ノード間のインターフェース
  • プロトコル
  • 各種リンク(ダウンリンク/アップリンク/サイドリンク)
  • FDDとTDD
  • チャネル(論理チャネル/トランスポートチャネル/物理チャネル)
  • RRC (Radio Resource Control) 状態
  • 無線リソース
  • スケジューリング(リソース割当)
  • 制御情報の送信

基礎知識はこれらの事項に限られませんが、少なくともこれらの事項は理解しておくべきでしょう。

5G/4G/LTEには膨大な技術が含まれすが、まずは基本的な技術をしっかり押さえれば、対象の発明がどのあたりの技術なのかを把握できるようになりますこれは発明の理解のために非常に重要な一歩です

さらに、基本的な技術の知識があれば、対象の発明に応じて個々の技術を必要な深さで学習することも容易になります。このような個々の技術の学習により、技術知識がさらに蓄積されていきます。

本サイト(【5G/4G/LTE】特許ノート)では、5G/4G/LTEの『基本技術』を解説する記事を掲載していきます。

まとめ

移動体通信(5G/4G/LTE)の特許を担当するあたって、以下の2つがハードルとなります。

  • 移動体通信(5G/4G/LTE)の技術は標準化されるということ
  • 移動体通信(5G/4G/LTE)の技術の難易度が高いということ

移動体通信(5G/4G/LTE)の担当者としてこれらのハードルを乗り越えていくために、以下の3つの要素を知ることが重要です。

  1. 5G/4G/LTEの『標準化
  1. 5G/4G/LTEの『標準必須特許 (SEP)
  1. 5G/4G/LTEの『基本技術
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この記事を書いた人

移動体通信(5G/4G/LTE)× 特許係争 を専門とするイージスエイド特許事務所の代表弁理士。
10年以上にわたって、移動体通信特許の権利化と係争の支援に従事。
本サイト(【5G/4G/LTE】特許ノート)では、移動体通信特許の専門家として、移動体通信特許を担当する知財担当者向けに様々な有用情報を提供しています。
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